2023/04/10

松橋社長の挑戦 パーパスを作っただけでは終わらない

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開業から20年目の節目に、「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」というパーパスを策定。2年が経過し、パーパス具現化フェイズに突入した今、代表取締役社長の松橋さんにパーパス実現への道筋を聞きました。

あらためて、松橋社長のパーパスにこめる想いを教えてください。

「セブン‐イレブンにATMがあったら便利なのに・・・」というお客さまの想いにお応えすることから私たちの事業はスタートし、コンビニATMもすっかりお客さまの間に定着してきました。我々はこの20年間、お客さまの「あったらいいな」の想いに応え、常識に捉われることなく常に挑戦を繰り返し、新しいサービスを生みだし続けてきました。しかし、時代は加速度的に変化しています。我々が、お客さまの期待を超えるサービスを生みだしつづけるためには、より一層イノベーションが必要です。そのためには、「金融という枠を越えて、身近にある多様な社会課題に向き合い、その課題解決に貢献したい」という強い想いを社員全員が持つことがとても大切だと考えています。

例えば、「ATMは現金を出し入れする機械」ではなく、銀行の窓口業務もその場で完結できたら——。それだけでなく、自治体の公共サービスや給付金もATMで受けられるようになったら——。ATMの固定概念から脱して、全国26,000台を超える社会インフラとして捉え、お客さまの日常の未来に想いを馳せると、次から次へ「あったらいいな」のアイデアが思い浮かびます。

「日常の未来を生みだす」ことができる部署は、新規事業を考える部署などに限られてしまう気がします。例えば、銀行の事務部門のような部署の社員はこのパーパスをどう具現化させればいいのでしょうか?

日頃、社員と会話する機会が多いので、パーパスを具体的に日々の業務にどう反映しているのか聞いてみると、社員からはこちらの想像を超えたアイデアが出てくることが結構あります。所属する部門に関係なく、誰もがパーパスの実現を目指し、自分たちの業務で何ができるかを真剣に考えてくれていることが伝わってきます。
せっかくのいいアイデアを小さな輪の中で終わらせるのはもったいない、社員全員で共有して刺激にしてほしいということから、2022年度末に「パーパスアワード」という社内イベントを実施しました。我こそはパーパスの具現化を実践しているという取組みを全部署から募り、最終審査は全社員投票で決めるという社員参加型のコンテストです。各部署で事前に2つまでに候補を絞ってエントリーしてもらったのですが、どれも甲乙つけがたく審査する方も大変苦労しました。アワードの模様はまた後日お伝えできると思いますが、当日はとても盛り上がりました。

パーパスは一定の割合で浸透しましたが、さらなる向上には、継続的活動が重要です。他の社員が考え実践するパーパスを知ること、自分たちが体現できるパーパスを考え、実行すること、そしてそれを広く伝える場があること。そうした流れを創り出し続けることで、社員一人ひとりの中にパーパスが深く根づいていくと考えています。そういった意味で、全社員参加型の「パーパスアワード」は非常に大きな役割を果たしたと思っています。

私は常々「共感」という言葉を社員に伝えています。共感は「認知的共感」と「情動的共感」があり、前者は他人の立場に立って物事を考える、後者は他人の感情を自分のものとして捉えることで、両者をバランスよく活用し、「あったらいいな」を超える商品・サービスを生みだし新しい未来が生まれることにつながると話しています。お客さまやお取引先、社員同士の「共感力」を高めることは、パーパスの体現にも必要なことだと考えています。

パーパスの体現とその先の未来を、社長はどのように考えていらっしゃいますか?

今の時点でパーパスを最も体現できているのは中期経営計画だと思っています。デジタル社会の進展に応じて、多様な機能を備えた新世代ATMの「ATM+」(ATMプラス)が稼働後、日本初のサービスを矢継ぎ早に打ち出しています。また、国内の口座サービスでは、商品バーコードを読取り株式投資につなげる「お買い物投資コレカブ 」をリリースしました。銀行事務バックオフィス業務の受託や、企業から口座を介さずATMを通じて個人に送金する「ATM受取」など、セブン銀行らしい金融サービスを展開し、社会課題の解決にも貢献、着実にパーパスが実現できていると思っています。今後は海外にもユニークな金融サービスを展開していきたいと考えています。

ただ、社会の変化するスピードが本当に早い。パーパスは変わらずとも、お客さまの価値観やニーズは変わり続けます。「お客さまのあったらいいな」を超えることは、セブン銀行および社員にとって共通のテーマです。その実現によって、個々の社員の日常業務が社会課題の解決と企業価値の向上に寄与し、セブン銀行の持続的成長につながっていくと私は考えています。

セブン銀行は今第二創業期。パーパスを策定したことは客観的に我々の存在意義を確認し、様々な事業のポテンシャルを考える良いきっかけになりました。お客さまの潜在ニーズを探り、世の中に新しい日常を生みだす活動には終わりはありません。私たちが目指すは、「求めていたのはこれだよね!」とお客さまが実感していただけるサービスを生みだし続けること。そのために、日々挑戦していきます。